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「…っていうか、私、部屋間違えてますよね、すみません;」 未だ現実を受け入れあぐねていたがやっと口にした言葉。 どう考えても、まさか自分が師団長と…あまつさえマルクトで最強といわれる 譜術士と同じ部屋だとは、信じられない。 何かの手違いか、他の誰かも今日異動してくる予定で 単に自分が部屋を間違えただけだ、と信じたい。 「?何故です?」 「え、いや、だって事務員が師団長様と同じ部屋な筈は―――」 「事務員?誰の話をしているのですか?」 そうして段ボール箱を再び抱えようとしたに、 ジェイドは首を傾げながら言う。 「わ、私、ですけど…」 「中々面白い事を言う方ですね。 ですが、あなたはもう事務員ではないでしょう」 「へ?」 すかさず突っ込まれ、何とも間抜けた声をあげてしまった。 書類には、移動先しか書かれていなかった。 だから仕事の内容は変わらないだろう思っていたのだが。 ジェイドはの腕からダンボール箱を攫い、再び机の上に置くと 穏やかに溜息をつきながら、逃れようのない真実、現実を告げる。 「あなたの新しい役職は、第三師団師団長補佐。私の副官として今日から働いてもらいます」 万年事務員だと思っていた、そしてそれに納得していた自分が まさか警備や戦闘の最前線に立つ七師団に所属し、師団長の副官をやる事になろうとは。 「ほ…本当ですか」 「本当です」 ジェイドは懐から一枚の紙を取り出すとそれをに手渡した。 軍側の赤い認証印と堅苦しい文字の羅列の中に、 "・殿 上記の者を本日付けで第三師団師団長補佐に任命する" という一節が綴られた正式文書は紛れもなく本物。 「本当はもう少し後になる予定だったのですが… 少々無理を聞いてもらい、あなたを引き抜かせていただきました」 「…何故、私を…」 納得がいかない、と言わんばかりの顔で呟くと からかう様に表情を真似た上官が言う。 「私にしてみれば、あなたが事務に所属している事の方が余程不思議ですがねぇ」 「それは…」 口ごもったに、ジェイドは見透かすような笑みを浮かべた。 「一週間前の事、私の前では無かった事にはなりませんよ」 公設秘書? 回想編 「おい、また出たらしいぞ!今度は北の地区の方だとよ!」 「本当か!?魔物なんて、今まで入ってこなかったのに―」 「この都は軍の譜術で守られていると聞いているが…一体どうなってるんだ?」 一週間前、グランコクマは一つの話題で持ち切りだった。 なんと、水の障壁で守られている筈の要塞都市に魔物が出現したという。 目撃した民によれば、その姿は水のように透けていて、 まるで鳥の様な出立ちをしていたとか。 その話はもちろん、マルクト軍の本部にも届いていた。 「少尉、また、でたらしいですよ!!例の魔物」 「へぇ〜こんな所に侵入して来るなんて…物好きな魔物もいるもんだわ」 事務部署所属、・少尉は 書類に確認印を押しながらめんどくさそうに呟く。 押しても押してもなくならない書類の山に、 朱肉さえ乾いた悲鳴を挙げ始めていた。 「ま、都内の見廻りは師団の方で組んでいるでしょうから ここの部署は関係ないですけどね」 同僚の兵士はそう言うと、他の事務員に紛れて自分の仕事に戻っていった。 軍に所属している身でありながら、尚且つ少尉という地位にありながら ほとんど戦場に出ず、毎日毎日こんな事務作業ばかりしていて良いのだろうか。 そんな風に現状に対し思う事もあるが、 その思いとは裏腹に昇進の誘いをケリ続けているのもまた事実。 いつも通り矛盾を解決出来ないまま、女性将校は半日、ハンコを押し続けた。 「あー、終わった〜」 朱肉に蓋をし、ハンコを投げ出すと背伸びをする。 流石に半日ハンコ押しは肩に来るらしく、まだ正午だと云うのにこの疲れ様だ。 長い溜息をついたに、先程の同僚が慰労の目を向けながら 対照的に追い討ちをかける様に言った。 「!そういえば、少尉。 港に今週分の到着予定の船舶と届いた物資のリストが――――」 「!!!」 ハッとが我に返ったように瞠目し、椅子に膝裏を当てて立ち上がる。 「わ…わすれてました…―今から行ってきます!」 「まぁー夕方までに処理できれば良いやつだから、 そんなに急がなくてもいいぞ」 「あ、ハイ;」 「それから―」 「?」 席を立ち、踵を返して歩き出したの背中に届いた同僚の声に 首を傾げながら振り返った。 何を重要な事を言われるかと思いきや… 「魔物には気をつけろよ〜」 「…も〜、冗談はやめて下さい!行ってきますー」 港までは少し歩かなければならない。勤務中であることは重々承知だが、 建物の中に篭りっきりだったせいかしばしの日光浴は十分な楽しみになっている。 通り過ぎた傍の公園では、子供が笑い声を上げながら駆け回り遊んでいる。 実に、平和な街だと思った。 何隻もの船が停泊している港に到着し、 波止場の傍に武器を構えて佇む一人の役員兵士の所にが歩み寄る。 「事務部署所属、・少尉です。今週分のリストをお願いします」 「あぁ、これだ。ごくろーさん、今日はちょっと遅かったな」 毎週顔を合わせているためか、役員兵士も慣れた様子である。 「どうもw」 もにこやかに微笑んだ、 その時だった。 都を囲む様にそびえる水の防壁が、揺らいだ。 「(―――――魔物の気配!?)」 ドンッ が天を仰いだその瞬間、 波打った水の防壁を突き破る様に幾つもの水飛沫が弾けた。 何かが突っ込んできたのだ。外部から。 譜術で強化された水の防壁が、何故。 どうやって、"奴ら"は入って来る事ができたのだろうか。 上空、はるか上に姿を現した"奴ら"の各々の周りの水飛沫が晴れると その姿はより鮮明になった。 例えるなら青。しかしそれは恐らく空の青が透けて見えているからに過ぎないだろう。 まるで、水の様な体を持ち、数百の鳥の形をした"奴ら"は鳥とは思えぬ動きと速さで 一斉に都に降下し始める。 「な、何だっ!?」「まさか、魔物!?!」「例の噂の―――」 民達が、騒ぎ出す。 恐怖に駆られた街は、一瞬でパニックに陥った。 いけない、とは呟くと、 波止場の役員兵士に、 「もうとっくに動いてるだろうけど、すぐに本部に連絡してちょうだい! 侵入してきた時の様子、魔物の数、形、すべて報告して!!」 穏やかな態度を一変し、指示を残すとは駆け出す。 「し、少尉――!?」 「まかせたわよ!」 足が向かう先は港に来る前に通り過ぎた公園。 幾つかカーブを曲がり、あと少しと云う所での目の前に"それ"が姿を現した。 「!」 無機質なその体からは、生き物の気配はまったくしない。 一体、何の魔物なのだろうか。魔物、というより、もはやこれは怪物に近い気もするが。 無色透明な、鋭い爪を剥き出しにして迫る怪物の攻撃を素早く膝を折り 身を屈めて回避するとその振り返り様、既には詠唱を始めていた。 「(見た所第四音素で構成されている…ってことは)」 やはり、詳しいことが分からない以上、今の所手段は一つしかない。 詠唱を終えた瞬間、滞空していた魔物の下に紅い陣が敷かれ、 そこから炸裂した炎の渦が鳥の形をしたそれを飲み込んだ。 その炎の残滓が風に流れる頃、魔物は跡形も無く消え失せていた。 「……!」 息をつく暇さえない。 鼓膜に響く子供の叫び声に弾かれるように再び駆け出し、 ついに公園へ駆け込んだ。 逃げ遅れたのか、一組の親子が魔物に襲われかけていた。 「た…助けて!!」 「―――――――フレイムバースト!」 の放った炎が、再び魔物を焼き尽くす。 完全な指向性を保つその炎は、すぐ傍にいた親子には熱すら感じさせなかった。 「早く逃げなさい!!」 「――あ、ありがとう!!」 「―――」 母親に手を引かれて走り出した小さな少女がを振り返る。 お礼を言うつもりだったのだろう、だが――― 「お姉ちゃん、ぁ―――――!!危ない、後ろッ!!!」 少女の叫びが木霊した。 「ッ!?」 しまった、と振り返るとその先に魔物の影。 ついさっきまではいなかった。だが確かに、 同じ魔物に、しかも今度は三体、眼前まで間合いをつめられてしまっている。 これでは詠唱が間に合わない。思わず目を瞑りそうになった、その瞬間、 ボッ 「(ぇ――――!?)」 が放ったのと同じ譜術だが、全く質の異なる強大な炎が 魔物を三匹とも器用に飲み込み、消し去った。 もちろんが放ったのではない。 安堵を通り越して困惑したの後ろから聞こえてきたのは、 「民間人は早く屋内に非難して下さい、後は我々にまかせて」 それまでそこになかった声。 「―――!」 振り返ると、そこに見ない顔の軍服姿の男性が立っていた。 金色の長い髪に、眼鏡の奥の真っ赤な瞳、 顔にはこの場に不釣合いな、穏やかな笑み。 顔立ちには見覚えが無いが、来ている服に心当たりがある。 階級はおそらく師団長、または大佐以上に位置する者が着る軍服だ。 誰、と言葉を発しようと唇を動かしたが、直後、 その男性の背後に突如降下してきた魔物の影に言葉は瞬時に塗り替えられる。 「―後ろです!」 「!」 咄嗟の言葉に魔物の方を振り返った男性の手元を見て、は我が目を疑った。 何も無いところから、突如、槍が姿を現したのだ。 向かってくる魔物の爪をいとも容易く避け、その槍を魔物の体に突き立てると、 瞬間、槍の穂先から炎が炸裂した。 魔物を完全に蒸発させると、槍は再び物理の限界を突破し空間に溶けてゆく。 親子が逃げるのを見送り、再び向かい合った二人はそれと同時に空を見上げた。 上空にはまた、同じ魔物が現れている。 数が増えているような気がするのは、気のせいではないだろう。 やっと胸を撫で下ろしたは、長身の男性に視線を移し、 「助かりました…」と一礼。 「いえいえ、こちらこそ…自己紹介などしている暇はありませんが ―――どこの師団の方ですか?」 「いえ、私は事務の人間なんで」 男性の質問にが悪びれる様子も無く答えると、 一瞬、男性が目を見張った様に見えた。 信じられない、と言う顔は、しかしすぐに引き締められ 視線ごと帝都の大空へと向けられる。 「来ます」 「え…!」 呟かれた言葉を合図に、真上の空中で滞空状態にあった魔物達が降下し始めた。 空に、まるで彗星が降り注ぐ様に閃光の軌跡が描かれていく。 数はおよそ百。秒単位で、格段に増えてきているのは明らかだ。 軍の迎撃システムも稼動してはいるようだが、効果がでている様には見えない。 「どうやら、あの魔物達は強い音素に引き寄せられる習性がある様ですね」 「強い…音素」 ちらりと男性の顔を一瞥したには、本能的に分かっている。 先程放った譜術を見ても容易に解かる、この男性がとてつもなく強いという事。 二人の元に降りてくる百の魔物達を一掃するには、何が一番得策か。 状況や場所も考慮し、考えを廻らせた結果、 同じ結論に至った二人は顔を見合わせた。 「もっと広いところへ行きましょう」 「ええ、ここからだと中央広場が一番近いかと」 無人化した町を駆け抜けるうち、 侵入してきた魔物達が次々に二人に標準を合わせ、狩の準備を始める。 市街地を過ぎ、魔物達を引き連れたまま公園よりも広い広場に出ると その中央で二人は立ち止まった。両者とも、詠唱の準備は出来ている。 「――行きますよ」 「はい!」 腰を据え、構えたの背後で男性も踵を返し、 背中合わせに立った二人の唇から全く同じ呪文が紡がれ始める。 一字一句、微塵のズレもなく完全に同調した詠唱によって 傀儡と化した空間の第五音素が二人の足元に大きな紅い譜陣を描いていくのと、 引き付けた魔物達が二人に爪を向け、一斉に降下したのはほぼ同時。 光が譜陣に収束した瞬間、閃光が爆発する。 「「全てを灰燼と化せ――エクスプロード!!!」」 青い空に、巨大な火柱が立ち昇った。 「カーティス大佐、商業地区・住居地区の安全確認はほぼ終了しました!」 「けが人の手当てを最優先に、損壊した建物の確認と 魔物が残っていないか他の地区も順に引き続き見回りを続けて下さい」 「了解です!」 夕暮れ時を向かえ、赤く染まった帝都は徐々に人々の賑わいを取り戻しつつある。 指示を与えた部下がその場を離れた後、 ジェイドは微笑みを浮べたまま小さく溜息を漏らした。 「―――さて、事件も一段落着いたことですし―――………。」 眼鏡の位置を直して振り返った先には、誰もいない。いなくなっていた。 さっきまでいたのだ。あの、事務員を名乗りながらも 譜術士として十分すぎる力を持った女性兵士は、 先程までジェイドの隣に並び、事態の収拾に尽力していた。 一瞬首を傾げながらも、すぐにジェイドは港から広場に来ていた 役員兵士の元へと歩み寄る。 「―――すみません、少しお尋ねしたいのですが…先程までここに居た――――――」 茶髪で青い眼の、と説明するとすぐに思い当たる人物が浮かんだらしい。 役員兵士は不思議そうな顔でジェイドを一瞥した後、事も無げに答えた。 「――あぁ、・少尉の事ですか? 彼女なら、さっき大急ぎで本部に戻られましたよ」 「・…」 その名を、無意識の内に呟いた。 「何故あの時、何も言わずにいなくなったんです?」 何故、と聞かれても。とジェイドの質問に対し、 は執務室の机上に視線を滑らせながら困ったように答えた。 「…そんなの、自分の仕事が残っていたからに決まってるじゃないですか」 確かに、あれだけ行動を共にしながら 何の挨拶も無しにその場を去ったのは不自然だったかもしれない。 だが、騒ぎが一段落し街の雰囲気も落ち着いてきた夕方、 何気なく懐に手を伸ばすとそこに 夕刻までに処理しなければならない船舶と物資のリストがあったのだ。 独りで青ざめたはその瞬間、一目散に駆け出していた。 淡々としたの答えに、ジェイドは苦笑いで呆れた様に溜息をつくと 利き手で眼鏡の位置を直し、穏やかに言う。 「まぁ、過ぎた事はもういいんですがね。 あなたの事はあの日の翌日、軍の記録で調べさせていただきました」 「……」 明らかに何か言いたげな上官の笑みに、は狼狽した。 事件の翌日、若干の職権乱用を用いたジェイドは 軍に所属する兵士の個人記録保管所に引きこもっていた。 背中合わせに戦った女性兵士、否、女性譜術士の記録は案外簡単に見つかった。 "・ 所属:事務部署 入隊年:ND2006 階級:少尉 転属、昇進記録:無し" 「…十年も…」 あれほどの力を持っていながら、何故。 十年もの間、転属、昇進が無いのはいくらなんでもおかしいのではないか。 戦う事が嫌なのか、単に食い扶持を稼ぐために籍を置いているのか。 現状がどうであれ、力を持て余している事だけはあの一瞬を見ても明らかだ。 そして執務室に戻ったジェイドの元に、 まるでタイミングを図ったかの様に人事役員が現れた。 「カーティス大佐、副官登用の権ですが―――」 「あぁ、その話ですか」 いつもなら、必要ない、と断り続けていたため 役員兵士はさっさと用紙にペンを走らせ始める。 「前回までと同様、副官登用は無しという事で――――」 「ちょっと待ってください」 「――え?」 思わぬ返答に、役員兵士のペン先はぴたりと止まった。 ジェイドは椅子から立ち上がると 扉の近くにいた兵士の所まで歩み寄り、 「―――この方を、私の副官に推薦します」 微笑を浮べながら一枚の紙を手渡した。 当の兵士は驚いたように用紙に釘付けになる。 「――…(…事務部署!?)」 戦線のトップに立つような師団が 戦闘とはほぼ無縁の地味で有名な事務部署の人間を引き入れて、 一体何をさせようというのだろう。 しかも、女。 だが、役員兵士にそれを口にして問い質す勇気は、 もとい問い質す権利など無い。 「なるべく早くお願いします」 「了解しました。―しかし大佐」 「何です?」 「事務部署は師団とは所属が異なります。 場合によっては向こうの長官の了承が必要な場合も―」 危惧する兵士の言葉も、ジェイドは微笑みながら遮った。 「その時は、私が直接伺いに行きます」 「十年も同じ部署、同じ階級のままとは…ある意味笑えますが。 あなた程の人間なら昇進の話もあった筈です、それは―」 「今回の、異動命令が出るまで、一度も誘いを承諾した事は無いですけど」 「…やはりそうでしたか」 昇進や地位、そういったものに興味など全く感じない。 階級も少尉で十分すぎる程だとは考えていた。 矛盾も葛藤も、無かった訳ではないのだが。 荷物の入ったボール箱の蓋を開け、中身を確認しながら 今度はが呆れた様に溜息をつく。 「私の様な譜術士の端くれにも満たない人間を指名して… 後悔しても、遅いですからね」 「端くれとはよく言ったものです、 あの時の譜術…あれだけ息の合った二重譜術は、私も初めて体験しましたよ」 詠唱呪文と操る音素の量が寸分の狂いも無く重なる事で発動する特殊な倍加譜術。 各々の力のを完璧にコントロールすることが出来る者達が 揃うことで初めて発動することが出来る相当難易度の高い技だ。 威力は譜術士の素質にもよるが、普段の威力の五倍以上になることもある。 そんな技を、出会って間もない二人でいとも簡単に発動させてしまったのだ。 ここにきて再び、は自分が窮地に立たされている事に気付いた。 「…あ、あれは…大佐が合わせるのが上手かったんです」 「そうですかぁ?私は普段と変わらない調子だったんですがねぇ」 「…」 返す言葉は、残念ながらもう品切れ状態だ。 何を言っても、今からでは全てが遅いのは分かっている。 自分は目の前の、少し会話しただけでも解かるこの腹黒い男の副官に すでになってしまっているのだから。 持ち越して来た資料の束を箱から取り出し、片腕に抱えたまま はジェイドと向き合った。 ここはもう、開き直っておくしかない。 「…とりあえず、よろしくおねがいします。カーティス大佐」 頭を下げようとすると、すかさず視界の青いグローブが滑り込んでくる。 何事かと顔を上げると端整な顔立ちに薄い微笑みが浮かんでいた。 「こちらこそ、末永くw あぁ、私の事はジェイドと呼んでもらって結構ですよ。 ファミリーネームには、少し馴染みがないものですから」 「え…ぁ、で、では、その内…呼ばせて頂きます」 差し出された右手に自分の右手を重ね、 は何ともぎこちない笑みを浮べたまま握手を交わした。 end |