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師走がやってきた。冷え切った空気に浸る街を電飾が飾る。だからといって暖かくなるはずもなく、白い吐息を吐き出しながら両手を擦り合わせたって大して変わらない。そんな自分とは違い、隣を歩くそいつはちっとも寒そうではない。 「流石に12月にもなると寒いなぁ」 「あんたちっとも寒そうじゃないけど」 「は寒そうだね」 「当たり前よ、男子の制服が羨ましいわ…」 大通り沿いのガラス張りのカフェや飲食店の中にいる人々は皆暖かそうだ。自分の置かれている状況と対比すると余計に寒さが増した気がする。 「足が寒いのかい?」 「…そーね。素だし。足も寒い。全部寒い」 「じゃぁ、はい」 と言って差し出された手をは一旦停止して見つめた。 「何、この手」 「繋ごうよ」 「…」 じゃぁ、のくだりが解せなかったが余りの寒さに拒む事さえ煩わしかったので(そして悪い気もしなかった)はほぅ、と息を一つ吐き出した後、差し出された掌に自分のそれを重ねた。 「……」 じんわりと伝わる温もり。髪も銀色で色白なカヲルはひんやりとした印象だったが、どうやら見当違いだった様だ。 「ちょっとは温かいだろ?」 「…ほんのちょっと、ね」 「素直じゃないなぁ……あ」 「?…あ」 ふわりと舞い降りた、白い粒。二人は揃って曇天を仰いだ。いくつもの白い粒が降り始めた。 「雪だ…綺麗だね」 空を見上げたままふっと微笑んだ横顔をちらりと見たは、静かに笑った。 カヲルの優しい微笑みは綺麗で儚げで、時々見える彼のそういう表情が、はたまらなく好きだ。そして見る度、何故だかほんの少し切なくなる。 何故だろう。でも、 「ええ、綺麗ね…でも、いい勝負なんじゃないかな」 「ん?何が?」 「ひみつ」 「え〜」 「いつか教えてあげる。さ、さっさと帰るよ」 今は、温かいから大丈夫。 end |